『土偶を読むを読む』縄文ZINE(編)2023-07-14

2023年7月14日 當山日出夫

土偶を読むを読む

縄文ZINE(編).『土偶を読むを読む』.文学通信.2023
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-86766-006-5.html

私は、考古学については、まったくの門外漢である。だが、この本の対象としている『土偶を読む』が世に出たときのことは、記憶にある。かなり話題になった本であった。そして、サントリー学芸賞を受賞した。

しかし、この本については、毀誉褒貶のある本だという認識は持っていた。

その『土偶を読む』は、私は、読んでいない。だから、ある意味で的外れな感想を持ってしまうのかもしれないのだが、しかし、この本は面白かった。そして、考古学という学問のみならず、学問的に手続きを踏んで考えるということの重要性を語っている本だと思う。

この本を読む限りであるが、『土偶を読む』は、まず、まとも評価するに耐えないレベルの本である(らしい。)これは、何も考古学に限った話しではない。私の専門の領域、日本語の文字、表記という分野においても、ある学会などでは、とても専門的評価には耐えないレベルの発表があったりすることは確かである。とはいえ、発表している当人はいたって真面目である。学問的に何かを論じるという方法において、問題があるということになる。

だからということではないが、専門知ということについては、いろいろと考えるところがあった。評価するに価しない発表は無視しておけばいいという、それだけでは済まないということも確かにあると思う。ここは、専門家の責任として、しかるべく評価する必要がある。

この意味では、この『土偶を読むを読む』は、非常に良心的に作られている本だと思う。特に、本の後半部分がいい。現代の考古学、なかんずく、縄文時代の研究の最前線で、どのようなことが考えられているのか、かなり分かりやすく語ってある。

これは、これから大学院などで専門的な勉強を始めようという若い人にとって、どの分野のことを勉強するかを問わず、参考にして読んでいい本だと思う。

2023年5月19日記

ザ・バックヤード「大原美術館」2023-07-14

2023年7月14日 當山日出夫

ザ・バックヤード 大原美術館

大原美術館には行ってみたいと思いながら、まだはたせていない。

あつかっていた話題は二つだけだったが、非常に興味深いものだった。

美術品の輸送は、非常に専門的な分野になる。この場合、対象となっていたのは、贋作ということだったが、なるほど、このような手順で発送の準備をすることになるのかと思って見ていた。この語、さらに梱包して専門の業者による輸送ということになる。(まあ、このあたりの事情は、古典籍にかかわることをしてきた人間として、まったく知らない分野でもないのだが。)

それから、大原美術館が、今も、若い芸術家を支援しているということ。これは、非常に有意義なことである。今の時代、美術を職業にしていくことは、なかなか困難である。将来のある若い美術家を、このような形で援助していくことが、今もおこなわれているということには、感銘を覚える。

2023年7月13日記