ドキュメント72時間「初夏の木曽路をゆく」2023-07-18

2023年7月18日 當山日出夫

ドキュメント72時間 初夏の木曽路をゆく

島崎藤村の『夜明け前』を最初に読んだのは、学生のときだった。その後、時間があって、近年になってからまた読みかえしてみた。この放送は、『夜明け前』を読んだ印象を強く持っている人間の目で見ると、またちがった感想を持つことになる。

一般的には、この番組で描いていたのは、木曽路の馬籠から妻籠の間の道をあるく人びとということになる。たしかに、これはこれとして興味深い。

しかし、その一方で、島崎藤村が、昭和のはじめのころに小説に書いた、それは幕末から明治にかけての木曽路である。その木曽路の面影を、たぶん放送で出てきた道は残しているのだろうと思う。この意味で見て、『夜明け前』で描いていた中山道の木曽路とは、こんな道だったのかと感慨深く思って見ていた。

この道も、やはり道を保全する地元の人びとの努力があって今に残っている。道が残っているということは、この道を歩いてきた人びとがいたということでもある。

それにしても、木曽路が、外国人に人気だとは知らなかった。

2023年7月15日記

ETV特集「消えた故郷へ帰るとき」2023-07-18

2023年7月18日 當山日出夫

ETV特集 消えた故郷へ帰るとき〜高知・椿山 50年の記録〜

日本の国で人びとがどのように暮らしてきたのか、いろいろと考えるところがあった。

見ていて思ったことのひとつとして、米や水田が出て来なかったことがある。米作とは関係ない、山に住む人びとであったことが知られる。山で焼き畑をおこなう人びとの暮らしである。穀物としてとれるのはヒエやアワということになる。

つい数十年前まで、このような暮らしが実際にあったことになる。その村落も、もう滅亡の寸前である。いやもう廃村になっているのだが、そこに愛着をもち、なんとか最期を見届けようという人が幾人かいる。

昔の生活の記録映像は、とても貴重なものである。

それから感じたこととしては、この村でおこなわれたきた先祖供養の形式だが、位牌の記し方を見ると、神仏習合という感じがする。伝えられてきた祖先祭祀の信仰もまたとだえようとしている。また、山里の寒村という場所にしては、墓が立派に作ってあった。このあたり民俗学的には、いろいろと興味深いところかと思う。

2023年7月17日記